LCC(格安航空会社Low Cost Carrier)はとにかく安さを売りにしています。格安なのでなぜ格安で提供できるのか?安全なのか気になることは沢山あるかと思います。安いから落ちるのか。「安かろう悪かろう」なのか。そんなことはありません。LCCが安い理由をいくつか紹介していきます。ひとつ言えることは安いから落ちるはイコールではありません。
LCCはなぜ安いのか
機材を統一しているから安い
「安く済ませるために中古機を使用している」と思われがちです。しかし、どのLCCも最新機種ばかりを使用しています。燃費・維持費、整備費用等を考慮すると最新機種の方がコストかからずリスクも少なく済みます。そして多くのFSA(Full Service Airline大手航空会社)は多様な機種を揃えていますが、LCCの多くは1~2種の機種で統一されています。LCCで主に使用されるのはA320、B737という世界的に人気の機種で非常に安全性の高い機種です。両機種ともに大量に生産されており、安く購入することが出来ます。
また、飛行機の機体の価格だけではなく、機種が少なければパイロットや整備士の教育や採用に多くの時間やコストをかける必要がないところも格安で提供できる理由の一つです。
座席が多いから安い
出来るだけ多くの利用者を送客するために、通常のFSA(大手航空会社)と同じ機体だとしても座席数を多めに設けています。そのため、FSA(大手航空会社)より座席は若干狭いことが多いです。ただし、座席の広さは各座席で数cmの違いでしかありません。主に短・中距離路線の運行のため、座席幅はそこまで気にせずに移動できるのではないでしょうか。
機内清掃のコストを削減
FSAは専用の清掃員が駐機中に清掃を行います。しかしその手間を省くために飛行中にゴミを回収することで駐機時間を短くしています。また機内で利用客が持ち込んだ飲食の禁止をしているLCCも多いです。そういったところから利用客からの多くのゴミが出る事を防いでいます。更に清掃の手間を省くため、座席はレザーを使用することで拭き掃除を簡単にしています。レザー座席は日本国内でLCC以外ではスターフライヤーが使用している以外は布製の座席となっていますので逆に高級感を得られもします。
ダイレクト予約メインでマージンを削減
旅行会社へ支払うマージンを減らすため、基本的には利用客がLCC会社のウェブサイトなどから直接予約・購入するシステムを採用しています。以前はホームページのみ、クレジットカード決済となっていました。現在ではコンビニエンスストアが利用できるようになり、近年多様化してきました。それでも予約方法は旅行会社を通さない手段がメインです。
機内エンタメ排除でコスト削減
座席での個別モニターを設置せずに利用客が自分自身のスマートフォンやタブレット端末にアプリをダウンロードする、というLCCもあります。また座席幅と雑誌製作費カットのため座席前のポケットを付けていない機材も多くあります。
短時間での離発着で駐機代を削減
駐機時間を短くして駐機代を浮かせ、FSAでは少なくても1時間は取る次便の出発を最短30分弱にしている事で沢山の便を飛ばすことができています。また受託手荷物を有料化にすることで大きな荷物の預かりを減らし、短時間での離発着を可能ともしています。しかし一度遅延が発生すると玉突き的に遅延が発生し、結局その日の最終便が欠航となる場合もあります。
サービスの有料化
コールセンターでの予約も有料のところがほとんどです。E-ticket控え・搭乗券は自宅でのプリントを推奨していることも多くあります。また、受託手荷物も基本的には有料です。機内でのサービスもドリンク1杯、毛布1枚に至るまでほとんどのLCCが有料としています。機内食も有料で、事前予約をした方のみ利用ができるLCCも多いです。さらに大手航空会社では無料で指定可能な座席もLCCの場合は有料となることがほとんどです。
最低限の搭載燃料でコスト削減
LCCの多くは受託手荷物は有料です。また機内持ち込み手荷物の重さも明確に提示されています。そのことで利用客は荷物の軽量化を図ります。全体の重量が減れば、使用する燃油もFSAより少なく済みます。
コストが安い空港ターミナルを利用
日本では関空・那覇・成田にはLCC専用ターミナルがあります。基本的にメガ空港は利用料が高いので敬遠傾向にあります。LCC専用ターミナルがあることで、利用料は安く抑えられています。また搭乗口はFSAのようにターミナルから直結、ブリッジを利用して乗り込むものではなく、バスで沖スポットへ行き乗せられる事も多いです。離れた場所に駐機することで駐機代を節約し、また出発時のプッシュバックを不要になることでも使用料を抑えています。バス移動の為にチェックイン終了時刻が早めに設定されてもいますので利用の際は日本国内線利用だとしても早めのチェックインを心がけましょう。
海外ではハブ空港をあえて利用せず、利用料をおさえています。ドイツでは「フランクフルト」とハブの名前を使いながらも実際のフランクフルトよりも120km離れた地に空港があったりもします。日本国内でも東京は羽田なのか成田なのか、関西でも関空なのか伊丹なのか神戸なのか、利用の際にはFSAのときよりも念入りに空港の場所をしっかりと把握しておく必要があるかもしれません。
格安なLCCだからこそ注意すべきこと
FSAに慣れているとどんなことでも無料サービスだと思いがちですが、LCCの場合はほとんどのサービスが有料になります。そのため、どこまでサービスに含まれていて、自分は何を必要とするのか考えながら予約する必要があります。
逆に考えると自分に必要なものだけを付けることが出来るので、気楽に利用ができます。でも安いからとFSA並みのサービスを付けるとFSA並みの値段になることがあります。航空券を1000円で購入できたとしても、受託手荷物に3000円がかかる可能性もあるので、最小限の荷物で気軽な旅を楽しむ場合にはLCCの利用は良いですね。
一番気を付けたいのは保証が付いていないことです。FSAでは遅延や欠航が発生した際にバウチャーが配付されたり日をまたぐ場合ホテルが提供されたりします。しかしLCCはそういった保証がほとんどありません。2016年6月現在ではチケットの種類によってジェットスターではお見舞金制度が付く様になっています。多くの場合、基本的にはイレギュラー対応は何も行われません。日をまたぐ場合は空港で寝泊まりする方も多く出る事もあります。夏の台風など、悪天候に利用が予想される場合は注意しましょう。
安い理由を知って安心してLCCを利用しよう
安いから落ちる、というイメージはまったく持たない方がいいでしょう。すべて親会社が海外・日本にしっかりと拠点を持つ大きな航空会社です。高い安全性を誇る親会社が持つ子会社が最新機種を飛ばしています。若干の狭さを気にする方もいますが、国内線などの1時間~3時間の飛行時間で「バス」ぐらいに思えればまったく問題はありません。安かろう悪かろうではなく使いようです。客室乗務員はFSAよりフランクなイメージです。海外では機内ドリンクサービスの飲み物をエプロンのポケットいっぱいに詰め込んでいたり、日本国内発着のLCCでも機内で関西弁でスピーチしたりみんなでの体操を勧めたり、保安要員的な役割を多く占めています。